本記事は、2014年8月にparasolというブランドから発売された『晴のちきっと菜の花びより』の感想記事です。ネタバレありの感想ですので、それを踏まえた上でお読みください。

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まずは本作に触れた経緯から。


と述べている通りで、ミシクロのプレイ直後にPの人おりほしさんのTLでの会話を見て、興味を持ってFANZAでDL版をポチりました。と言っても、まとまったプレイ時間が確保できなくて、終わったのが昨夜だったんですけど......(←気持ちが乗らなかったのでこんなタイミングでした。ごめんなさい)

こういうときに体験版に触れずにポチッとするところは、相互フォローの人に対する私の信頼度の高さですね。

ということで、本編の感想を書いていきます。
最初はネタバレ薄めで。

シナリオ構造は、最後の1ルートのみロックされていて、共通ルートから個別ルートへ一カ所から分岐する典型的なタイプでした。私のプレイ順序は、雨音→花梨→菜乃花→このみの順番でした。推奨順は最後の菜乃花→このみが固定で、最初の二人はどっちが先でも良いと思います。

テキストは所々脇が甘いところがあるものの、及第点以上のテキストであり問題ありませんでした。
それ以上にシナリオでの加点が大きいので、そっちで高い評価ができると思います(詳しくは後述)。

音楽・BGMは、落ち着きのある優しい世界観作りに非常に寄与していると思います。とりあえずPの人にお勧めされたサントラAmazonでポチりました。

ということで、欠点らしい欠点はなく、後述の加点要素からして、他人に勧められる良い作品だと思います。
※絵とボイスに触れてませんが、そこに欠点なんてあったら商業作品らしくないと思います。








さてここから本番。少しメタ目線でシナリオについて話していきたいと思います。
ネタバレをがっつりしながら。

私は本作のテーマは「優しさ」だと思います。

「優しさ」という言葉を聞いて、皆さんはどういう印象をもっているでしょうか?

私は「優しさ」ほど鋭利な刃物はないと思っています。

誰かのために行動を起こすことは立派なことです。
でも、それは簡単にすれ違います。ボタンの掛け違いはやがて大きな爆弾となり炸裂します。


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共通ルートの始まりから異様に献身的なヒロインであるこのみ。
尽くしてくれる彼女のために、「優しく」ありたいと思う主人公。

でも、普通の人間はあそこまで異様な「優しさ」を示すことは出来ません。
あれは「優しさ」を越えた「依存」のレベルです。
ですが、彼女は「依存」しながらも「依存」し切れていない。
共通ルートで菜乃花の居候が決まったときの、菜乃花とこのみの会話からそれが示されています。

さて、ここで他のヒロインにもフォーカスを当ててみましょう。

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雨音は、特異な能力から身についた(受け身の)「優しさ」ですね。
「余計な迷惑をかけない」ことが大切とするタイプ。
だからこそややぼそぼそしたしゃべり方。でも人を想う心は確かにここにある。
それがきっちり示される強い声がキャラクターボイス(CV星咲イリア)で表現されていて良かったです。


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花梨は、取り繕うタイプの「優しさ」ですね。
不器用なタイプと言っても良いタイプですが、その反作用としてムードメーカー的立ち位置になりやすいタイプですね。実際HPもそういう紹介文になってますし。


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菜乃花(彩菜)は、自己犠牲型の「優しさ」ですね。
とはいえ、諦めきれる位置にいるからこそ、自己犠牲型になり得るわけですね。
菜乃花ルート以外における菜乃花の行動は、「(自分がいなくても)主人公が幸せになって欲しい」という願いがにじみ出ていると思います。

本作は、主人公の周囲の人間によって作られた「優しい」世界でできています。
共通ルートはそれを守ろうとするキャラクターたちの姿が描かれています。
花梨ルートと雨音ルートは、その「優しい」世界が守られた世界ですね。
一方、菜乃花ルートとこのみルートは、その「優しい」世界が壊れた世界です。
そのほころびは、各ルート随所に出ていて、全ルートが終わった後に読み返すと「このキャラのこの行動はそういうことか」という納得が得られます


本作で利用されたギミックと類似のギミックを使った最近の作品は、『アメイジング・グレイス』(きゃべつそふと)ですね。

確実な予想をさせないタイプのアメグレと違い、菜乃花ルートで「このみルートでもきっと菜乃花の正体がキーになる」と思わせた上での、このみルートでのちゃぶ台返し(このみの「優しい嘘」)だったので、非常に効果的なギミックになっていたと思います(決してアメグレにおけるギミックの使い方が悪いわけではない)。

さらにアップデータver1.02(DL版では適用済み)の「はじまりの日」でさらにこのギミックを効果的に重ねることで、彩菜ルートを強化してきたのは非常に良い試みだと思いました。


キャラに対して「尊い」と感じる源泉は何か?とたまに思うのですが、
その答えの一つが、そのキャラの献身から出る「優しさ」なんでしょうね。
そういう「優しさ」を魅せてくれた作品、それが『晴のちきっと菜の花びより』でした。



最後になりますが、本作に触れるきっかけをくれた相互フォロワーのお二人に感謝申し上げます。