本記事は『クロスコンチェルト』(CF支援者版)の感想記事です。
一般版の発売が迫る中で、一般版購入の参考にしていただければ幸いです。
なお本記事の執筆にあたり、利益相反(Conflict of Interest)はございません。
※2019/11/02追記
最新の修正パッチは、下記画像リンクにあります。
※追記ここまで
まずCF(Cloud Funding)になぜ私が支援したのかというお話を少し。
私はブランド「あっぷりけ」のファンという訳ではないです。
支援当時、私は『コンチェルトノート』未プレイでした。
このブログ書いてる今もその記憶は大分薄いですし、本作をプレイしているときは言わずもがなです。
なので、『コンチェルトノート』が未プレイであっても楽しめることを先に書いておきます。
実際これからやる人なら、『クロスコンチェルト』→『コンチェルトノート』の順番の方が良いと思います。ルート分岐の単純さの面で、『クロスコンチェルト』の方がプレイしやすいゲームなので。
公式のコメントも貼っておきますので、ご参照ください(※2019/09/23追記)。
あっぷりけ公式HP更新情報。5分でわかる!『クロスコンチェルト』!を公開しました! スタッフ日記も更新。 #クロコン #あっぷりけ https://t.co/0drBkQ9cFk pic.twitter.com/a7tG63v9XN
— あっぷりけ&暁WORKS (@noriyuki_s) September 21, 2019
話が逸れかけたので、戻します。
基本的に私は「作品」で評価します(ブログの他の記事を見てもらえば分かると思います)。
で、クロスコンチェルトに支援するきっかけとなった作品は、『スイセイギンカ』でした。
(リンク先は暁worksのサーバー障害のため、DMMのDL版のサイトにしてあります)
この作品を以て、Directorの憲yuki氏を信頼して、安くない投資をしました。
またしても少し脱線しますが、以前ブログに感想を書いた『黄昏のフォルクローレ』が気に入った方は、同じライターさん(森崎さん)で、憲yuki氏がDirectorを務めている作品である『スイセイギンカ』も是非プレイしてみることをオススメします。
なお、安くない投資のリターンの一部を今年の1月にいただきました。
そんなこんなでCFに投資した作品ではありますが、いつも通りキレッキレの感想(?)を書きたいと思います。
私があっぷりけ作品におけるユーザーの感想を見ていて、勿体ないなぁと個人的に思うのは、
普通のことが普通に存在している素晴らしさを誰も語らないところです。
なので、今回はそこに着目して『クロスコンチェルト』の感想をお話ししていきます。
①ルート分岐の活用
フルプライスのADVゲーム(エロゲ)においてルートが分岐すること(=選択肢が存在すること)が一つのゲーム性と言われています。
(好きな表現ではありませんが)いわゆるシナリオゲーのルート分岐はなんのためにあるのでしょうか?
一例として、あっぷりけの『月影のシミュラクル―解放の翅―』のFlowchartを出してみました。
この作品では、1ルート攻略するごとに右側への分岐が現れるシステムでした。
そうすることで、謎を一つ一つ読者に明かしていく。
シナリオの順番を縛ることで=前ルートをIf化する側面を作ることで、より次のルートの重みを増すシステムですね。
『シミュラクル』ではかなりこのシステムを露骨に使っていましたが、今作『クロスコンチェルト』でもルート分岐を適度に縛ることで、話の順番を工夫し、よりシナリオに深みを出していました。
もう答えを言っているので、「シナリオゲーのルート分岐はなんのためにあるのでしょうか?」の答えは分かりますね。シナリオに深みを持たせるためです。
これを意識的にやり続けてゲームを出しているメーカーが、あっぷりけというメーカーです。
②生きているキャラクター
まずは桐月さん(ライター)のマスターアップ時のツイートをご覧いただきましょう。
クロスコンチェルトマスターアップヽ(´▽` )ノ
— 桐月 (@kidukirey) August 31, 2019
苦労話は沢山ありますが(瑠璃の未来視は制限がほぼ無いのが制限という扱いで考えてましたが、制限無さ過ぎて大変だったとか)やっと肩の荷を一つ下ろせます。お気に入りキャラは名前書くのもネタバレなので秘密ですが登場人物みんな好きです #クロコン
例えばコンチェルトノートの時、不幸の連鎖により莉都の誘拐事件が起きる、どうにかしよう! というイベントになりましたが、仮にこっちで同じ流れだとしたら瑠璃が「兄さん、来週の〇〇日に誘拐されるみたいですがどうしましょう」と言い出しますからね。マジ脚本家殺しのメインヒロイン
— 桐月 (@kidukirey) August 31, 2019
これはつまり、キャラクターをライターさんやDirectorさんがきっちり理解しているってことです。
瑠璃がどういうキャラクター(どんな人)で、どういう行動をするのか熟知していてこそのツイートです。
そんなこと当たり前じゃん、と思うかもしれませんが、しっかり通せてない作品が意外とありますね(具体例は挙げませんが)。
キャラクターをきっちり理解してテキストを作られているということは、キャラクター一人一人がきっちり描写されているということです。ユーザー目線で言うならば、キャラクターが生き生きしている、とか、このキャラが好き!!みたいなことを純粋に言いやすいんですね(俗に言うシナリオゲーであっても)。だから、普段キャラゲーをプレイされている方が、シナリオゲーに挑戦する最初の一歩として勧められるのではないでしょうか?
なお、原画家のオダワラハコネせんせーの絵が素晴らしいのは言うまでもないので割愛します。
では、実際にキャラを見てみましょう。
センターヒロインの瑠璃ですね。
主人公の妹で、未来予知ができると(実にチートですね)。
CVはくすはらゆいさん。minoriの『夏空のペルセウス』から知ってる人間としては語ることはいくらでもありますが、文字数の都合上割愛します。瑠璃は、妹なんだけど妹らしからぬと思える面を感じる。でもやはり妹って思える存在ですね。
私にはこれしか言えない存在でした(良い意味で)。なお、脳髄が瑠璃に毒されていると思われる、本作のExtra Producerの一言がこちらです。
瑠璃さんの瑠璃ちゃんなところ凄い可愛くて最高だけど、
— MrJ@クロスコンチェルトえくすとらP (@app_cf_MrJ) September 2, 2019
瑠璃さんが前に出るからこそ輝く。それがまたよい。
そして瑠璃さんと瑠璃ちゃんは等しく瑠璃なのが瑠璃なのだと。
後、瑠璃の瑠璃様は尊いとかそういう次元じゃなかった。#クロコン pic.twitter.com/nassvegt6n
鏡花は幼なじみの女の子ですね。加えてメイドさん。
鏡花は従者としての顔と幼なじみとしての顔の二面性があって、それゆえに気持ちを押し殺している面があったり、どうしても譲らない面があったりしました。でも全ては姫様や主人公のためなので、凄く愛らしいメイドさんでしたね。私もこんなメイドさん隣に欲しい。
未来(みらい)は、一言で言えば天然系女子ですね。
CV奏雨さんと言えば、浮いた感じを出しつつ芯のある演技が印象的な声優さんです。
例を挙げるなら、Whirlpoolの『初恋スプリンクル』の羽月でしょう。
未来はおっとりしていて母性の塊みたいな人で、その魅力がよく現れていました。その一方で、どんな状況でも自分を見失わない面も兼ね備えており、そこが彼女の強さだと思いました。
透子は、一つ上の先輩ですね。
クール系女子で、口数が少ない。
CVは白月かなめさん。ユニゾンシフトの『レイライン』のアーデルハイト、Escu:deの『Re;Load』のフィーネなど幅が広く演じられる声優さんという印象です。
透子の魅力は理知的な感じの中にある優しさです。優しい上に頭が良いなんて、完璧美人じゃないですか。でも、そこに至る所以もあるわけで、それが彼女を彼女たらしめているなぁと思いました。③作品を引き締める細かい演出や音楽
ネタバレなしと言った以上ネタバレするわけにはいかないので、『はなのの』のCMムービーを例にお話ししていきます。
センターヒロインである桜花(CV有栖川みやびさん)の台詞と音楽の噛み合い方が分かるでしょうか?台詞の力を純粋に後押しして、作品の空気感を伝えているのがこの音楽です。
このムービーで使われている音楽を見てみましょう。
最初の1分弱では作品の空気感を描いています。
後ろの30秒では作品の見せ場を純粋に後押ししています。
そしてそのいずれも台詞を純粋に後押しして、綺麗な噛み合いを作ってくれています。
BGM担当は鷹石しのぶさんで、今作『クロスコンチェルト』でもBGMを担当してくださってます。
演出について、今作で取り上げたいところがあるんですけど、ネタバレ部分なので文字だけで扱います。
今回新規の演出として、CGと立ち絵演出を組み合わせる工夫がありました。
CGだけでテキストが長いと、画面に変化がない状態が続き、だれる面があります。
それを補うために、途中から立ち絵を組み合わせることで、主人公の視点の移動を意識させる演出がありました。
個人的にこの演出工夫はものすごく評価の高いものでした。
こういう新規の演出を出せるのも、ここまでの演出における創意工夫の積み重ねがあってこそだと思います。
演出について文字だけになって申し訳ないんですが、音楽の方は今作の公開情報で出せますね。
CMムービーを下に貼っておきますので、音楽と台詞の噛み合い方をぜひ見て欲しいと思います。
他にもあっぷりけの良さ、本作の良さを語ることはできますが、主なところとして3つ挙げさせていただきました。
シナリオ構造の一例として、①ルート分岐の活用。
テキストの良さの一例として、②生きているキャラクター。
その他の要素の一例として、③作品を引き締める細かい演出や音楽。
これらを含めた色々な要素が組み合わさって、実にエロゲの基本に忠実なエロゲになっており、それ故に本作『クロスコンチェルト』は人に勧められる作品だと思います。
あっぷりけというメーカーは、少ない人員ながらも作品ファーストを実現しているメーカーさんです。
上記の例を挙げたように、ADVゲームの基本に忠実で、非常に良い作品を出してくれるメーカーさんです。一方でその人員の少なさゆえに、事務面など他の面で少し難があるのが玉に瑕ですが……。
あっぷりけさんが出すゲームに、この記事を以て興味を持っていただけましたら、まず体験版をプレイしていただきたいです。その上で製品版に興味がありましたら、買っていただき、メーカーさんを(影ながらでも)応援していただきたく思います。
『クロスコンチェルト』に限らず、先に挙げたエロゲはいずれも推せる作品ですので、興味がありましたら触れていただき、新しい発見をしてくだされば幸いです。
そして、願わくば作品が作品自身を裏切らない作品を作るメーカーさんが、一つでも多くのゲームを世に出してくださることを、一人のエロゲーマーとして心から願っております。
最後に再度言わせていただきますが、本ブログの執筆にあたり、利益相反(Conflict of Interest)はございません。
追伸
私同様のCF支援者の方へ
CF支援のきっかけは様々だと思いますし、各人事情が違うのを承知の上で、一つご提案があります。
『クロスコンチェルト』の感想をブログやTwitterに書きませんか?
CFのリターンが遅れたり、CFの対応順番が微妙だったり、と批判すべき内容は多々あると思います。
ですが、批判だけで良いのでしょうか?
2019年9月末に物的なリターンが届きますが、アペンドシナリオはこれからです。
アペンドシナリオも楽しみたくありませんか?
本文で述べたとおり、あっぷりけさんは元々外注メインで人手の少ないメーカーさんです。
10月には一般版が発売されます。一般版が売れて余裕ができれば、人手を確保する資金になり、延期や不手際が減るのではないでしょうか?
批判は承知していたとしても、お金がなければ動けないのは、社会人ならおわかりのことですよね。
別にメーカーさんを応援し続けろなんて言いません(私も応援し続けるとは限りませんので)。
でも、どんなきっかけであっても、今回のCFにお金を出資したわけですよ。
だったら、出資したお金の価値を上げる努力をしませんか?
オタクという生き物は、作家さんを応援したり、作品を応援したり、メーカーさんを応援したり、声優さんを応援したりして、お金を払って、いやお金以上のものを投資してますよね。そうすることで、自分の払ったお金の価値を上げて楽しむのが、オタクではないでしょうか?
これから皆がアペンドシナリオを含めたリターンを楽しむため。
今後延期や不手際でストレスをためないためにも。
Twitterやブログで感想を書くこと。
これをご一考いただければ幸いです。
クルクル丸(@skskidays)
※2019/9/20追記
クロスコンチェルトの感想書こうぜ!ってブログで書いたけど、どこまでSNSとかに出して良いの?って思ってる人もそれなりにいると思う。そこで、公式に問い合わせて、「大雑把な基準」をまとめてもらいました。個別案件は公式に問い合わせてね。#クロコン pic.twitter.com/u3SSvu95yB
— クルクル丸 (@skskidays) September 19, 2019
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