本記事は、ブランドSonoraから2019年9月に出た『同じクラスのアイドルさん。Around me is full by a celebrity.』の感想記事です。ネタバレありの感想記事ですが、製品版の楽しみを損なわない範囲でお話ししていくので、製品版購入の検討の一助になれば幸いです。
今回も体験版をプレイしました。その感想ツイートはこちらです。
『同じクラスのアイドルさん。』体験版おわり。
— クルクル丸 (@skskidays) August 2, 2019
減点なし。話の凹凸も綺麗で、体験版として作品の全体像を十分に見せてもらった感じ。文句なしで買うと思う。 pic.twitter.com/fNaTmCeuKs
感想としては実に無味乾燥な文章ですね。感想だけに......。←おい
私がSonora、つまりCuffs系列の作品に興味を持ったきっかけは、MintCUBEの作品『人気声優のつくりかた』でした。この作品の紹介文に書いてある通り、「中の人」からの視点中心に描く真実度・78%の声優業界ラブコメディ。体験版をプレイして、この点を信頼して製品版購入してから、Cuffs系列の新作をチェックし始めました。
本作の全体像をどのように把握していたかというと......。
『同じクラスのアイドルさん。』のジャンルは、「芸能学科ラブコメ」です。
ラブコメ的な面が前半、芸能学科的な面が後半を占めている体験版で、その両面がしっかり出ていたと判断しました。なお、芸能学科的な面は上辺だけでは終わらない印象を持ちました。
これらを踏まえた上で、製品版のお話をしていきます。
本作の私の感想を端的に言うならこれです。
「リアリティのあるフィクション」
今回はこの言葉を中心にお話しします。
本作の初動の感想は、不評な意図が含まれたものが多くなると思います。
フィクションにおいて職業を扱う場合、リアルを想起させる面があります。
例えば、先ほど挙げた『人気声優のつくりかた』における声優職。
別分野の作品で言うなら、アニメ『SHIROBAKO』のアニメ制作現場。
職業ではありませんが、ブランドの前作『恋課金』のプレイヤー(課金者)たちも入れても良いでしょう。
不評な意図が多い、ということは、こういう作品で扱われる職業のリアルを見て、「他人事」のごとく扱う方が多いのではないでしょうか?
「声優だって、アイドルだって、一人の人間なんです」
この言葉の意味を本当に分かっておられるでしょうか?
今作『同じクラスのアイドルさん。』は、芸能(アイドル)を扱っています。アイドルをしっかり描いているがゆえに、アイドルの正の側面も負の側面も強くでています。
芸能のリアルは特に苦味やえぐみが強く感じられると思います。
フィクションで語られるリアルに対して「他人事」だとは思えないのではないでしょうか?
特に、声優がアイドル化した現代なら、畑違いの世界だとは思えないのではないでしょうか?
朱莉は、アイドルとしての表舞台に立ち続けるがゆえの苦悩。
和心は、アイドルになるがゆえの苦悩。
詠は、母親がアイドルがゆえの苦悩。
どのヒロインもそういったリアルに立ち向かうのが個別ルートでした。
では、私はこれをどう見たかというと......。
個人的には、この点を格段に良いとは言いません。
ラブコメをジャンルとして設定している以上、もう少しシナリオか演出面で、えぐみを軽くできなかったかな?とも思います(こればかりは制作過程を見ないと分かりませんが)。
ただ絶対に、悪いとは思いません。むしろ良い方だと思っています。
本作は、一般作品と異なり、R18作品です。
『SHIROBAKO』のようにえぐみをあそこまで減らす意味はありません。
しっかり苦味やえぐみがあってこそ、甘味が甘く感じられるのが大人の味ではないでしょうか?
作品自体は丁寧に作られています。
シナリオは個別ごとにしっかりテーマ分けされてますし、ルート分岐の構造も文句ないです。3人が並行で優先すべき順位がなくなるように設定されているので、好きな順番で個別ルートに入って良いと思います。
絵も塗りも安定していて、原画家の差を出しつつも、格差を出さないよう調和が取れています。
CVはメインの3人もサブもしっかりしてましたね。朱莉や和心は、幼なじみゆえのあの微妙な距離感が上手く表現されてました。詠は、CVくすはらゆいなので語ると長くなるので(以下略)。
演出やBGM、楽曲などもしっかりしていて、作品の雰囲気作りがしっかりできていたと思います。
なので、これから購入を検討される方の問題は、先に挙げたえぐみが受け入れられるかが全てではないでしょうか?
私は以下のパターンをオススメします。
A. この話を読んで、興味を持った
→今すぐ『同じクラスのアイドルさん。』を買いましょう。
B. えぐみに対応できるか不明
→先に挙げた『人気声優のつくりかた』をまずやってみましょう。
通常、Bのような踏み絵を踏ませる行為は好きではないんですが、今回はあえてこの勧め方をします。
いつまでも「身体は大人、頭脳は子供」ではセンスがないでしょう。作品で学ぶことも時には必要だと思います。
R18作品といえば、エロ要素を第一に挙げられると思いますが、こういうえぐみもまたR18作品でこそ表現されるものだと私は思います。
『恋課金』でも挑戦的なガチャ分岐がありましたが、『おなくらさん』でも挑戦的なえぐみを出してくれて、個人的には非常に歓喜しております。ブランドSonoraの次回作でも、丁寧な作品による挑戦を強く期待しております。
※大雑把なところばかり書いているので、個別に伺いたい点がありましたら、TwitterのリプやDMまでご連絡ください。
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