本記事は2020年3月発売の『神様のような君へ』の感想記事です。
ネタバレありの記事ですが、ほとんどネタバレなしのいつものパターンです。
未プレイの方は購入の参考にしていただければ幸いです。

神様のような君へ


本作の体験版プレイ時の感想はこれです。




さっさと製品版の感想を述べるとしましょう。

ルート構成は、共通ルートから大きく3ルート(厳密には3×2ルート)に分岐する方式。
便宜上、ハッカールート、Vルート、探偵ルートと呼称します。
サブヒロインが一人ずつこの3ルートに対応しているため、3×2ルートというわけです。
※なお、ツクヨミルートだけ共通ルートからの入り口が二つあります。

本作はルートガイドがデフォルトではONになっているため、選択肢で迷うことはないと思います。
どの選択肢で分岐するかを含めて楽しみたい人は初めにOFFにするのが良いでしょう。

まずはシナリオについて。
EDクレジットを見るとシナリオ補助の方もいますが、主に書いたのは3人で、それぞれが各ルートを担当しているようなので、まずはルートごとに述べます。

①ハッカールート
3つのルートの中で多分、一般評価が低めになるんじゃないか、と思えるルート。
でも、それは不可抗力であり、だから良くないというわけではありません。
むしろテキストはしっかりしており、キャラの制約がある中で綺麗な物語を描けていると思います。

②Vルート
一番強いギミックを使っているので、多分このルートが一般評価が高くなると思います。
キャラクターの魅力の強さゆえにそういうことが起こると予想しますが......。
このルートのものすごく勿体ない点は、不自然なアラビア数字が存在すること。
詳しくは3月28日の私のツイートをtwilogから見ると分かります。
特に「一流」が「1流」になるのは、通常のATOKの変換では出ませんし、慣用句は横書きでも漢数字を使うべきだと思います。
話の構成もよく、VTuberへの理解の深さを上手くシナリオに落とし込んでいる、と感じました。

③探偵ルート
3つのルートの中で一番評価が割れるルートだと思います。
ラナルートの途中でソフィアルートへの分岐があるため、ラナルートの一部+ソフィアルートが、「ソフィアルート」として認識される可能性があります。その場合、ラナがメインヒロインなのに、ラナの方が短いと思えてしまうかもしれません。
また、バッドエンドの内容が人によっては嫌うかもしれません。まあそういう好き嫌いがあるユーザーの方は「イエス、ロリータ!ノー、中だし!」の精神で行きましょう(笑)
でも①のときと同様に、テキストが悪いわけでもないですし、これらを非難するのは野暮なことだと私は思います。

①~③までそれぞれ味の違いが出ていて、良い作品に仕上がっていると思います。
一方で、ルート同士の均一化を求める人には合わない作品になっているかもしれません。
例えば、エッチシーンのシーン数の差。ストーリーラインに合わせて入っているため、シーン数がルートごとに微妙に異なります。
あと、エッチシーンといえば、サブヒロインを合わせた「3P」があるのはなかなか印象的でしたね。未経験の方も、本作で3Pの味を覚えてみてはどうでしょうか?(ゲス顔)

全体として統一されていた点は、一つ一つのお話を比較的短めに区切っている感じですね。
オートモードをよく使う人間としては、ちょうど良いお話の長さになっていたと思います。
ただどんどんクリックして話を進める人にとっては、短いと感じるかもしれません。
なので、オートモードをメインとして途中クリックしつつ読み進めるくらいが、ちょうど良いと思います。(多分そういうプレイングを想定して作られているのではないか、と感じました)

③で少し触れましたが、バッドエンド(途中で終わる分岐)が存在します。その場合EDムービーがありません。バッドエンドがきっちり存在しないゲームも多い中で、なかなか挑戦的だなと思いました(良い意味で)。


原画はカントクさんですね。私個人としてはポリフォニカの印象が強いですね。エロゲでは今回初めてでした。パッケ絵的にエッチではないけど、実際エッチシーンになるとエッチな感じがしっかりでていると感じました。見るからにエッチなのも良いですけど、脱ぐとエッチなタイプも良いですよね。

背景はわいっしゅさん。Purpleの『アオイトリ』のときも思いましたけど、ほんと綺麗な背景を描かれますよね。まあ一つ述べるなら、お洒落なカラオケボックスだなぁ、と思う一方で、少し小汚い感じの背景を描くとどうなるんだろうな?と思いました(そういう作品が来ると良いなぁ)。

CVは全員強かったですね。キャラへのハマり方がばっちり過ぎて怖いくらいです。
久々に、九条信乃さんのボイスを聞いた気がしますし、ああいう演技を聞くのは初めて?かなと思える演技でしたね。

演出は、ALcotのかつらぎさんとCubeの双葉さん。
安定ですね。お手本のような演出をされていたと思います。

システムで特徴的だったのは、スクショ機能ですね。
ショートカットキー「S」で一発で撮れるのはすごく便利だと思います。
私から言える提言は、広報の方が担当者にお伝えしてくれると思ってますが、別ルートからこれを見る可能性も考慮してここにも貼っておきます。


他にも音楽のPeak A soulさんや音声編集の方々......、
一人一人言及するとキリがないのでこの辺にしておきます。



まとめます。
本作は、実力のあるクリエイターさんたちが集まり、それぞれがそれぞれの味を出し切った作品だと言えると思います。それゆえにとがった部分があり、それが良いスパイスになっていると思います。
同じような味よりも少し違う刺激を求めて手を出したいちょうど良い作品になっているのではないでしょうか?
Cuffs系列は安定よりもきっちり挑戦の味を出してくれるので、毎回楽しませてもらってます。次回作も心から期待しております。