カテゴリ: エロゲ

Missing-X-Link ~天のゆりかご、伽の花~(ミッシングクロスリンク~てんのゆりかご、とぎのはな~)の感想をいつものように乱雑に書きます。タイトルの略称はミシクロです。
もちろん、ネタバレを含むので、それを嫌う人は回れ右でお願いします。

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ミシクロに対して最初に抱いたイメージは、ヒロインの幅を随分と広く設定してきたな、という少しマイナスイメージでした。
献身的なオートマタ、毒舌天才、ゴリラ、病弱。
ヒロインの属性の時点で風呂敷広げすぎだろ、としか思いませんでした。
そして、QPとかいうリンゴの精霊の生まれ変わり。
なぜコイツが出てくるんだこんにゃろ。

なにはともあれ体験版。
そこで全て判断するつもりでした。

……
……




べた褒めしました。人工知能(AI)ネタに弱いんですね、私。
もちろんAIネタの下手なやつはすぐに気づくんで、速攻で切るんですけどね。
明らかに「分かっている」作品だと体験版で判断したので、買うことにしました。


さて、ここから製品版のお話。

この作品に使われているギミックは大別して2つ。

一つはチェス。
チェスの棋譜(試合の再現)を活用しているところがいくつかあります。
私自身、類似のボードゲームでちょっと実力がある人ですが、チェスはからっきしです。
とはいえ、ルールが分からなくてもギミックとして機能するように創意工夫が見られて、(ルールが分からなくても)面白かったです。

もう一つは、人工知能(Artificial Intelligence:AI)。
チェスや将棋、囲碁をやっている人間の一部は、AIについて一般人よりも詳しいです。私もその一人ですね。だからこそ、体験版であの食いつき方をしてしまいました。

専門用語がまあまあ使われますが、シナリオの中に綺麗に組み込まれています。
missing-x-link ~天のゆりかご、伽の花~_snapshot_20190503_195736
missing-x-link ~天のゆりかご、伽の花~_snapshot_20190503_195746
missing-x-link ~天のゆりかご、伽の花~_snapshot_20190503_195756


チュアブルソフトの『あの晴れわたる空より高く』
をやったことある方は、あのときの専門用語の処理方法を思い出してください。あの良さがここで生かされていました。


実は、「大偽典図書館」の元ネタを予想したものがあったのですが、どうやら違ったみたいです。
そっち系のお話は別記事で書きたいと思います。



シナリオルート形式は、ユースティア方式(脱落式)。
晶→ひな→遊離→姫風露→グランド
この順番で分岐の度にヒロインの個別を処理していくことをオススメします。
私は遊離と姫風露を逆にしましたが。
あと、あえて飛ばしましたが、ある種のBADENDも用意されているのも良かったです。


ちなみに、キャラ的に一番クリーンヒットしたのは、遊離ですね。
私にとって「共感性の高い」ヒロイン、第1位になりました。

遊離の行動一つ一つに対して、その行動をやりたくなる気持ちがよく分かるんですね。
主人公への意地悪、天才的なところのやるせなさなどなど.......。
共通ルートから個別ルートの端から端まで、感情の動き含めて「わかる」ってなるんですよね。

もう語彙力が欠けるくらいのレベルで、共感できてヤバいとしか言いようがなかったです。
「キミにこれから私のせいでいっぱい傷ついて、苦しんで――だけど最後にはキミに、キミを嫌いな私のことが、世界で一番大好きだって言わせてあげる。」
この台詞は反則ですね。


CG・立ち絵の塗り方も良かったですね。
儚さを感じさせる塗り方が、より一層この作品らしさを出していました。

missing-x-link ~天のゆりかご、伽の花~_snapshot_20190503_201609

こういう正気を失った目を立ち絵で出しつつ、全体として違和感を感じさせないところが、作品全体をよく見たディレクションだと感じました。

演出も、Yow氏や椎原旬氏がサブディレクションで関わっているだけあって、細かいところまで行き届いていました。

BGMも適材適所で上手く適応しており、作品の統一感を際立たせていました。

そしてUI(ユーザーインターフェース)。これが素晴らしい。ディレクターさんがTwitterで力を入れたとおっしゃっていましたが、批判承知でよくやってくれた!と言いたくなるレベルでした。

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これが通常のゲーム画面。

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マウスカーソルを外側に持ってくると、このように最低限の機能が表示され、右下のメニューを開くと......。

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このように展開されて、必要なものにさっと触れられるんですね(左下はSAVE)。
個人的にはQ-saveは必要だけど、Q-loadは不要だと思っていて、その辺を加味したシステムだったと思います。

一つだけUI関連の弱点を言うなら、セーブデータにあるキャラクター系のタグの法則性が掴めないところですね。個別ルート前でどういう要素を見てついているのかが分かりづらいところだけが弱いところでした。なお、各話のタグは振り返りの際に分かりやすくて重宝しました。
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もう一つだけ、私から見た弱点として挙げるなら、
主人公の台詞に不要なネタ仕込みが入っている点ですね。
パロネタそのものは悪いものだとは思いません。
しかし、基本ラインが真面目なテイストの作品だけあって、タイミングを誤っているところがいくつかありました。結構気づきづらい出し方しているので、気づかない人はそのままスルーでしょうけど。



総合評価としては、AIやSFがダメじゃない人、難しい単語が苦手じゃない人には無条件で勧められると思います。特にはれたかが好きな人は今すぐDMMのサイトに行ってポチッと買いましょう。そのくらい良い作品でしたし、またこのような作品を期待したいです。


最後に一言。このゲーム、絶対に普通よりお金かかってるよ。大資本DMM恐ろしや。

本記事は偶然見つけた二次創作小説(R18)の感想です。

原作は2016年minoriから発売された罪ノ光ランデヴーです。
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※リンク先はR18の公式HP

そのヒロインの一人、風香にスポットを当てたアフターストーリーです。

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※画像リンク先→今回の二次創作小説


小説なので、いつものエロゲの感想と異なり、中身に細かく言及する方式になっています。
なので、読んだ上での閲覧を推奨します。















読後直後の感想として、自分の中で一番思ったのがこれです。
    「この結末こそ、やはり風香ルートらしさ」
 個人的な解釈ですが、本編風香ルートのエンドは「若さゆえの逃避」でしたが、この風香アフターで「まっすぐ見定めた逃避」として完結している印象です。「罪」や「逃避」の重さを実直に感じられました。
   

    今回の小説の構造としては、基本は優人目線で、風香sideは風香目線での内容になっています。優人自身、「罪の重さを背負うべき」という前提を抱えており、それが小説の文章中にて、地の文のリズムの中でアクセント的に重さをつけていたのが、風香ルートらしさを印象づけてくれました。
   
    実際の例を見ていきます。
   
    1. 序 新しい生活 より
        >風香は公務員試験を受けた。理由は単純で、安定しているから、そして高卒でも働けるからだ。
        >大学に行くべきじゃないかと反対はしたが、風香は早く自立がしたいからと聞く耳を持たなかった。
        >学園の教師たちはさぞ驚いただろう。公務員になるにしても、大学進学をしてからが普通のルートだろうし。
        >それでも、風香は俺との将来を第一に考えてくれて、就職すると言い張った。
        >ずっとそばにいて、罪を共に分かち合うために。
   
    1. 序 二人の距離感 より
        >二人して珠里村を出た時はどうなるかと思ったけど、なんとかなってしまっている。
        >安心というよりも、正直言うと、恐怖が少しだけあった。
        >こんな上手くいくなんて、どこかしらで落とし穴があるに違いない。
        >だって、俺たちは罪を犯しているんだから。
            (中略)
        >故郷のみんなを捨てて、俺は自由を手にした。
        >恋人であり、姉である風香(しおり)と結ばれた罪に対する罰なんだ。
        >自由を得るには、責任が伴う。
            (中略)
        >電気を消した暗い六畳一間。
        >決して裕福ではないし、将来のことなんて不安しかないけれど。
        >許されない罪を二人で背負いながら、俺たちは幸せに生きている。

    1. 序での主な部分を抜き出して見ましたが、1章前半では罪の鎖が彼らに絡まっている感じをチラ見せして、後半ではその重さを地の文を重ねて訴えかける形で、序盤における(読者への)引き込みを助けてくれるものになってくれました。
   



    2章にて優人sideと風香sideに分岐してます。優人sideではカフビ、風香sideでは恵美という新しい人物が登場します。この二人を対比が面白いと感じました。
   
        カフビ
            バイト先に新規外国人バイト
            違法渡航者で、嫁と娘がいる
            言葉が不自由ながらもなんとか意思疎通。怒られ続けてもバイトを継続
            優人が絵の出来事を通して信頼を置き始めた人物
        恵美
            転校前からの友人
            父親が母親を殺したため、祖父母に引き取られた
            思っていることを率直に話すやや不器用な性格
            風香が転校前の出来事を通して信頼を置く人物
   
    主なところを箇条書きにしましたが、この違いが3章での違いに直結する点が設定に無駄がないと感じました。
    2章の中身としては、優人sideでは優人自身の観察力の強さが、風香sideから共通にかけてでは風香の脆さが、特に読み取れました。
   
    余談ですが、最初に読んだときにカフビという名前から性別が読み取れなくて、女性と勘違いしました。嫁さんの話が出たときに気づきましたが。つい登場人物で真っ先に女性を想起してしまうのはエロゲーマーゆえですね(苦笑)
   
  

    3章では、罪の告白がそれぞれのsideでなされます。私が好きで共感したのが風香sideなので、風香sideから触れていきたいと思います。
   
    ムーンマーガレット より
        >恵美に睨まれているこの状況に身震いしている。
        >隠し事をし続ける自分に嫌悪感を抱いている。
        >なによりも、友達を信用しきれなかった私自身に恐怖しているからだ。
       
        >「ごめん、恵美。私、言う」
        >「私に……私たちになにがあったのか、全部、包み隠さず」
   
        >逃げずに、恵美を見つめ直す。
        >真っ直ぐと、力強く、彼女へ告白する。
        >今までの弱かった私はもういない。
        >優人が傍にいてくれる、ずっと一緒にいてくれる。
        >だから、もう怖がる必要なんてないんだ。
   
    引用部分は自分自身の弱さに向き合いながら、自己暗示をかけて鼓舞する風香の気持ちが良く出た地の文だと思います。この部分の描写の丁寧さが風香の性格(特に脆いながらも見た目完璧を求めるところ)とも相まって、感情移入しやすかったです。
   
    なんで不安で より主に地の文を抜粋
        >全てを恵美に伝え終えるころには、空は曇天になっていた。
        >夕焼けは影に落ち、今にも雪が降りだしそうな寒さ。
        >そんな中でも、恵美はジっと黙って私の話だけを聞いてくれていた。
        >なにも言わず、ただ咎人の懺悔を耳にして。
       
        >恵美に怒られると思いつつ、本音を吐露する。
        >でも、恵美はニッコリと気持ちいいくらいの笑顔になり。
       
        >恵美の笑う顔を見て、少し心が晴れる。
        >思いつめていた自分が間抜けだったということなんだろうか。
       
        >笑って、軽口が叩ける。
        >いつもどおり、恵美と接せられる。
        >罪を告白することで、なにか壁ができてしまうかと思ったけれども、杞憂みたいだ。
       
        >恵美も、同じような傷を負っていて。
        >友達だからこそ、共有してくれて……なんだか、心が軽くなった気がし――。
        >
        >「今聞いてハッキリしたけど、アタシはあんたたちのこと、祝福はできない」
        >
        >胸の奥に、ピシリと亀裂が入った音が聞こえた気がした。
   
    そして、風香は罪の告白に至ったわけですが、そこでの風香の心の変化と分岐点に至るまでの引きつけ方も上手く乗せられました。引用部分は本番直前の緊張感を上手く叙述していると感じました。
   
    さて、ここで順番は前後しますが、優人sideの方にふれます。
   
    優人sideのお話は、店長がカフビをクビにするところから始まり、いきなり優人自身もバイトをやめる展開から始まります。序破急の急の強い側面がいきなり来る展開で始まりましたが、そこから逆に静的な流れに進んだように感じられました。それが優人からカフビへの罪の告白でした。
   
    こわくない より
        >俺たちのことをひとしきり話し終えるころには、身体はすっかり冷え切っていた。
        >近くの自動販売機で温かい飲み物を買い、カフビさんと一緒に飲む。
        >今まで飲んできた飲み物の中で、一番美味しいと思えた。
        (中略)
        >カフビさんはブランコからたちあがると、空を見上げた。
        >曇天の夜空、今にも雪が降りだしそうな寒さだ。
        >
        >「最後に、ユウの話、聞けてよかった。ありがとう」
   
    情景描写も含めて、静的な空気感がよく出ていたと思います。
    前述した風香sideの静的→動的への流れがありますが、これを上手く引き立ててくれているのがこの優人sideにおける静的な空気感であり、その流れをこのストーリー全体で引き継ぐことで、これに続く風香sideの動的要素がより重みのある内容になっていると感じました。
   
    風香sideの話に戻ります。
   
    すべて より
        >「拒絶はしない。起きてしまったことだし、当事者じゃないから」
        >「でも、ごめん。アタシは、同意できないんだ」
        >「姉弟で愛し合って、幸せになってなんて……許されたら、それこそ終わりだよ」
        >「終わりって……」
        >「物事にはルールが存在する。道徳っていう感情を、法律という名の規律でまとめあげてるんだ」
        >「それを破ること自体は仕方がないことさ。アタシだって褒められたものじゃない」
        >「でもね。破ったのなら、二度と過ちを犯さないようにするのが、人間ってものじゃないの?」
        >
        >恵美の言うことは、破ってしまった罪の意識を持ち続けろという戒めだ。
        >普通のレールから外れてしまったのなら、もう一生、その道を歩み続ける覚悟を持てと言っている。
        >その感覚が、万人に認められない。そうあるべきでないと、彼女は言っている。
   
    この風香sideの締めは全部取り上げたいくらいなのですが、あえてこのシーンを抜粋します。風香の告白に対し引用部分のようにはっきり言えるのが恵美の強さであり、恵美の風香に対する信頼でもあって、そしてその意味を理解する風香もやはり恵美に対する風香の信頼を見せてくれていると感じました。
   
    >「もし、アタシが風香の立場だったのなら」
    >
    >恵美は笑いながら、ゆっくりと歩き出し。
    >
    >「アタシは、あんたと同じこと、してかもしれない」
   
    最後のこれはベタな台詞ではありますが、こういう台詞がきっちりハマる流れが非常に綺麗だと思いました。
   
   
    さて、改めてカフビと恵美の比較をします。
   
        カフビ
            自身の罪を受け入れ、母国へ強制送還
            優人の罪とのつながりを持った
        恵美
            自身の罪を背負い続ける
            風香の罪には同意できない(けど友達)
   
    この違いが、優人の出した「答え」を導いていて、伏線回収としても綺麗でした。
   
    光について より
        >血のつながりじゃない。
        >法律的な関係性でもない。
        >お互いの痛みを抱えられる、精神的な強いつながりをもつ者。
        >それが、きっと家族と呼べる間柄だと思う。
        >真澄、お前は……こういう関係を望んでいたんだな。
        >決して離れない、真のつながりを。
   
    そして、本編のセンターヒロインである真澄あいのヒロイン力は強いなぁ、と改めて思いました。真澄あいは「心からの信頼とは何なのか?」という問いに「罪でつながる」のことに価値を見いだし、その影響を受けた優人が姉である風香とのつながりを罪に求める。そしてその「罪によるつながり」をより強固にするという選択をする。実に彼ららしい「答え」だったと思います。
   

    エッチシーンについてまとめて触れます。各章1シーンずつ計3シーンで構成されていますが、ストーリーの経過とマッチしていて、(単体としても申し分ないものですが)全体としての価値が高いものだと感じました。1章では、お互いに息を合わせるのにまだちょっとちぐはぐ感があって、最後の射精もあえて外だしを選んでいるのが憎いです(もちろん褒め言葉)。2章では、お姉ちゃんシチュですね。それを風香から指定しているところが、風香自身の心の迷いを示している感じがあって良いです。3章では、二人の心が重なり合っている感じが出ていて、言うまでもなく中だし。二人の距離感も反映している感じがより感情移入のポイントでもありました。
   


 がっつり引用しているため長くなりましたが、内容としては非常に良いものでした。特に全体を通して見たときの無駄のない構造と内容量の点が秀でていると思います。久々に本編をやり直したくなるくらい夢中になって読んだ内容でした。気になった方はぜひ最初のリンクより読んでみてはいかがでしょうか?(と言ってもネタバレしまくっているんで、もうここまでたどり着いた方は既に読後かもしれませんが(笑))


Twitterに吐露する気分ではないので、こちらに書きます。

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エロゲメーカーminoriさんが2019年2月末に制作終了を発表しました。

私が二次元コンテンツに興味を持ったのは、アニメ版のefでした。
私がminoriに興味を持ったのは、ののイヴ発売直前にやっていたnbkzさんのやっていたアングラなニコ生でした。
そこからminori作品のファンをここまで続けてきました。

体験版をやらずとも買うと決めていた唯一のメーカーさんでした。
しっかりと作品を提供してくれるメーカーさんでした。
あのminori作品独特の空気感が好きでした。

今回の新作に関しては、思うことがあって、
ブログを書きました。



ブログ書くときって、なにか思うことがあるときなので、
少し危機感を感じていたっていうのが本音ですね。

ファンになった時点で解散のタイミングを計っていることは、知っていましたし。

制作終了発表に関しては、(実は)数日前に風の噂を聞いていて予測できてはいたのですが、実際に発表されると、心が落ち着かないものですね。


何はともあれ
「これにて『minoriの作品制作』、終幕!」
とのことですので、私が言えることは一言です。

これまで作品を作り続けてくれてありがとうございました。

本記事は、Sonoraの作品『僕の未来は、恋と課金と。―Charge To The Future―』の感想記事です。
一部ネタバレが含まれますので、それを是としない方は、回れ右です。
なお、いつも通り書きたいことを書くだけです。


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私がこの作品を買うに至った理由ですが、
①エロゲ内にガチャシステムを導入した点が気になる
②体験版の感触が良かった。
の2点です。

体験版をプレイしたときはこのような印象でした。


ただしやや不安要素もあって....
A. 体験版の中身は良かったものの、キャラの配置転換で終わった(ツイートの言及通り)
B. 2ヶ月の延期があった

私は基本的に(minori作品を除いて)体験版で購入寄りかそうでないかを決めることにしています。
体験版こそが「(プレイ感、動作環境を含めて)どういうゲームですよ」っていう自己紹介だと思いますし、そこで自分との相性を確認しています。


※余談ですが、
個人的にはせっかくの自己紹介を無下にして、購入してからクソゲーだと叫ぶんだったら、ちゃんと自己紹介を見てから判断しやがれ!って思います。ぶっちゃけそんな発言をしている時点で、そのゲームが自分に合うかどうかを見抜けないクソ野郎だと自白しているわけですし。


キャラの配置が変わることを体験版終了の「引き」として利用していた本作ですが、
(悪い解釈をすれば)キャラの配置転換の影響は話全体に及ぶことはない(1イベントとして終わる)ため、話の全体像が見えないようにしている、とも取れるので、少し怖かったです。
もちろん、(良い解釈をすれば)話全体を見たときにここまでを体験版として出せば、ユーザーが買ってくれるだろう、という視点で体験版を出したとも取れるんですけどね。

こればかりは作品の制作過程を見ていないユーザーとしては「直感」に頼るしかないんですよね(笑)

で、この悪い解釈と2ヶ月の延期が絡んでいたら、このシナリオの構造がしっかりしていないということになるので、発売日の週まで購入するかどうか迷いました。


ただ、体験版でチェック出来なかった点が一つあって、ガチャの排出率なんですよね。
レアカードの排出なしの状況だったので、ガチャシステムの調整に手こずった可能性があって、そっちだったら文句なく買いだな、という印象でした。

なので、購入した私はガチャに賭けたわけですね。ガチャゲーだけにw






では、中身の話と行きましょう。

推奨攻略順は、
汐里→莉央or梓→菜々→みつき です。

最低でも汐里が最初、みつきが最後が良いと思います(理由は後述)。

今回ルート分岐機能として、「ガチャにて条件を満たす」ことでヒロインルートに入れるというものでした。

具体的には、
汐里:Sphereのカードを6枚以上所持
莉央:Cubeの特定カードを引く
梓:SSRを6枚以上所持
菜々:無課金を貫く
みつき:URミミを引く
というものでした。

これをパッと見たとき、ぶっちゃけみつきルートに入るのが一番キツいんじゃね?と感じると思われる方が多いと思います。実際Twitterでこれに関する批判意見も見ました。

「好きなヒロインを攻略したいのに選べないのはどういうことだ?」

これは制作者も想定できる批判意見だと思いますし、実際これは想定して分岐を仕込んでいると思います。
というのも、実はみつきルートの条件を満たすのは難しくないです。
(試行回数はそれほど多くありませんが)検証したところ、ミミピックアップガチャの回で平均5回くらいやり直せば引けます。

そしてやり直しも、セーブ&ロードを使うよりも、選択肢スキップ(前の選択肢に進む&次の選択肢に進む)を利用すれば、かなり早いです。

気分的にはリセマラ(リセットマラソン)ではなく、10連ガチャを数回引くレベルの感覚です。

そして、どのルートにも入れなかった場合にルート分岐条件のネタバレを見ることも可能です。

以上を踏まえると、ルート分岐に関してはシステムとしてかなり融通の利く形になっていたと思います。とはいえ、ソシャゲ経験がないとこの辺は分かりづらいかもしれませんね。



さて、それでもなお私は、みつきルートが最後推奨と述べました。

これは前述のルート分岐条件の話題がTwitterに挙がっていたときに、
「本当にルート分岐条件を満たすのが難しいならば、シナリオで分岐条件が厳しいに値する内容を持ってくるだろう」という仮説を立てていました。

URミミを引くってまあまあキツい条件に見えます。
だから、そこを満たしてこそのシナリオを持ってくるだろう、という想定です。

実際みつきルートは、(他のルートと比較しても)やや重めの内容だったので、最後に回した方が良いと思います。(とはいえ、「廃課金者ラブコメ」の範疇なので他のエロゲと比較しちゃダメですよ)

各ルートに関して言うなら、みつきと菜々が個人的に評価が高いです。菜々は性癖にドストライクでした。みつきルートは『人気声優の作り方』を想起させる良い内容でした。
どのルートも「ガチャ」が関連しますが、特にこの2ルートとガチャの関係性は良いものだと思いました。



絵に関しては、全体的に塗りが良かったです。
特に、水着立ち絵における身体の描かれ方はエロさがありましたし、コスプレ立ち絵もコスプレのクオリティが高い上で、(元の)キャラクターも失わせない良いものでした。各ヒロインでコスプレエッチシーンがあるのも良いところでしょう。

他BGMや主題歌、UI(ユーザーインターフェース)などなど(悪い意味で)引っかかるところはありませんでした。



ということで、全体として見ると、
ソシャゲガチャネタをシステムとシナリオで上手くエロゲに組み込み、
18禁らしい塗りの強い絵柄でできた良作だったと言えるのではないでしょうか。

体験版でお話のリズムが合うなーって思った方は、購入して損がないエロゲだと思います。

おわり。









追伸

最後に一つだけ制作者の方々へご報告。

一個だけボイスとテキストの不一致を見つけました。
みつきルートのみつき(ミミ)のライブシーンにて
黒うさ「何をいっているんだい、ボクはボクさ。黒うさ中の人などいない!」という台詞ですが、
「黒うさ中の人などいない!」というボイスになってました。
まあテキストをボイスに合わせるべきやつですね(笑)

実はエロゲをプレイしていて、こういうところにまあまあな頻度で気づくんですけど、(ユーザーとして)どうしたら気づかずにいられますかね(笑)

本記事は、minoriの最新作『その日の獣には、』をプレイした感想です。
感想と言いながら、おそらく気になったところに思いっきり言及するだけのやつです。きっと(笑)

内容的にネタバレが入ります。
なので、ネタバレが嫌な人は回れ右を推奨します。

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その前にminori作品の前提について少し触れておきます。
なお、私の記憶に依存している内容も含まれているので、その点はご了承ください。

①minori作品のシナリオは短い?
minori作品のシナリオ量は2MBはないです。少し前のお話ですが1.5MB前後だと言及されていた時期があったと記憶しています。シナリオが長ければ長いほど良いものというわけではありません。無駄に長ければ締まりがなくなるだけです。一応言っておきますが、元々minori作品はミドルプライスに近い価格帯ですから、フルプライスでぼったくられているわけではないです(笑)

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②minori作品には周期性がある
私は勝手に「意欲作」と「安定作」って呼んでます。

「意欲作」は、少し挑戦している作品。人を選びうる作品群です。
「安定作」は、安定して強い作品。人気が高くなりやすい作品群です。

1作品ごとに意欲作と安定作をループしてます。最近でいうと『罪ノ光ランデヴー』は前者、『トリノライン』は後者です。
初めてminori作品をプレイする方には、「安定作」に該当する作品をオススメします。

今回の『その日の獣には、』は「意欲作」です。

③minoriの独特なエンジンについて
これは初めての人向けに書いておきます。
オートはAlt+A、スキップはAlt+KまたはEnter長押しです。
Ctrlスキップはききません。ずっとこのショートカットキーなので、私は慣れました。
他にもありますが、とりあえずこの2つだけ把握しとくと良いと思います。
なお、これらのスピードをconfigで調整すればかなりスムーズにプレイできます。













以上を踏まえて、『その日の獣には、』の感想を述べていきます。

推奨攻略順は、瑠奈→舞雪→祈莉の順番です。最後は固定ですが、この順番を推奨します。

総評として端的に述べるならば、
作品全体のレベルが高いがゆえに、描写不足が目立つ惜しい作品でした。


今回瑠奈ルートから入ったのですが、最初に引っかかったのが、付き合い始めて他のヒロインにも伝えた方が良いと言われてからの描写です。
通常、他のヒロインズに話してどうだったか、というお話に移行します。しかしこのルートでは、実際に付き合ったヒロインとの会話でその場面を振り返るだけで、具体的な他のヒロインとの会話描写がありませんでした。(※他ルートではこの描写はありました)
なので、話をゆっくり読んでた身としては、あれ?飛ばしたかな?と思いました。

さくさく読み進められる点で悪いことではないのですが、逆にここまで丁寧に描かれていたがゆえに描写不足とも感じられるものでした。
とはいえ、この作品は「劇本番」という山場があるので、そこにストレートにつながるんだろうな、と思ってプレイし続けました。


・・・・・・

さあ、クロガネとの関係性も決めて、本番。

→→→ 劇の本番の後になってる??? あっれぇ??

久々に肩すかしを食らいました。

・・・・・・

続いて舞雪ルートに進みました。
舞雪ルートでは、舞雪の一途なかわいらしさが良く出ていて、可愛いこと可愛いことこの上ない。
やはりCVくすはらゆい大正義っすね。
そして、劇本番を迎えるところでED。綺麗な1ルートだったと思います。


で、これを踏まえて、先の肩すかしを食らった内容について考察しました。
前提=「最終ルートである祈莉ルートで、劇の内容に触れていく構成である」
これを踏まえると、劇本番を他2ルートで描写しないのは全然ありですね。
ただ、劇本番を軽んじているような見せ方は良くなかったと感じました。
舞雪ルートのように劇本番をEDムービーで挟む方法をとった方が良かったのではないか、と思います。

ミクロ目線だとヒロインの心理描写、マクロ目線だと劇が軸になっている作品だと思います。
なので、ミクロの方に行き過ぎて、マクロの方が弱くなってしまったという印象です。

なお、ヒロインの心理描写が強すぎて、主人公の心理描写が弱くなっている、という欠点もあります。特に瑠奈ルートは主人公の記憶が変化するお話だったので、その辺が淡白になるのは設定上仕方がないことかな、という見解です。




さて、期待の劇描写が入る祈莉ルートに行きました。
クロガネの提示した方向ではない方向に行ったのは、結構意外でしたね。それでハッピーエンドに落とし込んだのは良かったと思います。

ただ、問題は劇の描写。
(共通ルートで触れているから)重複するところを省く見せ方を選んでいたんですね。
重複を省くというよりは、祈莉を強調しすぎた見せ方かもしれません(←全編見直したら加筆修正すると思います)。
この選択は好ましくないと考えていて、
①2ルートやったら、そんなのは曖昧になって、忘れてる可能性がある。
②強いシーンが強くなくなる可能性がある。

要は、読者からすると緩急がなくなるんですね。
当たり前ですが、強いものを強いと思わせるには、弱い対象が必要なんです。
濃い味付けのものを味わって欲しいなら、組み合わせは薄いものを用意すべきなのです。

今回、劇の濃いシーンだけが提示されちゃったんですね。
そうなると、読み終わったときに「あれ?これで終わり?なんか盛り上がったけど、盛り上がりに欠けたなぁ」って感想になるんじゃないか、と思います。私はそうなりました。

なので、私としてはそこまでに触れた劇の台本描写を使いながら、劇の前半をもっと描写すべきだったと思います。

なぜそういう描写になってしまったのか、という疑問があると思います。私の見解ですが、この作品まじでテンポが良いんですね。オートで読んでたらいつの間にか2時間経過していたとかザラでした。そのくらい話の流れがすすすーっと入ってくる流れなんです。だから、テンポを良くするがゆえに蛇足的なところを削りすぎたのではないか、と思います。アップテンポで走り切りすぎた。だからああいう描写になったのかなぁ、と考察します。無駄を残した方が良かったのではないか、と思うんです。




結構細かい指摘をしてきましたが、このような細かいところが気になるのも、細かいところまでフォローできている作品だからなんですよね。

たとえば、毎度おなじみになっている立ち絵の表情変化や口パク。minori独特の演出ゆえにできていることですが、演出の細やかさは群を抜いてminori作品は強いです。
シナリオ面でも本作ではヒロインの心理描写をひとつひとつ丁寧に描かれていました。
ヒロインの心理描写における地の文で、ヒロインのボイスが入っているのはまじ最高です。
ヒロインのデートシーンはCGと演出でヒロインの全身を映してくれて、ヒロインの魅力を魅せてくれてます。
音楽もその場に合うBGMが使われていたと思います。曲数の制限ゆえに使い回しが目立つ作品もありますが、そういう違和感を一切感じさせずに、自然に入ってくる感じが好きです(だから、minori作品はいつも豪華版でサントラも一緒に買ってます)。

本当に細やかだからこそ、荒さが目立ってしまった、という印象です。
でも、作品としての完成度は高いと思います。

元々ポンコツの機械だったら、少しくらい故障しても気になりません。
でも、すごく有能でしっかり仕事してくれた機械が、ちょっと故障すると、すごく気になります。
そういうイメージです。だから、すごく勿体ないです。

だから、(予算とかを考慮すると大変だとは思いますが)丁寧さをもっと大事にして、その強みを生かし続けて次の作品を出してくれることを心から期待してます。


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